アニメーテッドラーニングってなんですか?(vol.2)



アニメで楽しみながら成績がよくなる? そんな夢のような授業がデンマークで行われています。現地で取材をされた、「かながわリテラシー研究所」メンバーの有吉末充さんによる報告の後半です。

アニメーテッドラーニングの始まり

デンマークのアニメーテッドラーニングの基礎を築いたのはハンネ・ぺデルセン(Hanne Pedersen)さんです。彼女はアニメーションや映像教育の指導者でしたが、その表現教育をベースに、メディア・リテラシー教育やアクティブラーニングの視点を取り入れて、この教育・学習方法の体系を作り上げていきました。
デンマークでは国立のTAW(The Animation Workshop アニメーション・ワークショップ)が設立され、アニメーションを中心としたビジュアル表現の大学であると同時に、デンマークのアニメーションセンターとして機能しています。ここにアニメーテッドラーニング・ラボ(ALL)が置かれ、これまで25年近くの間アニメーテッドラーニングの研究が行われていますが、ハンネさんは現在ALLのディレクターを務めています。アニメーテッドラーニングの実践報告や研究の成果を発表する国際学会も開催されており、今年の大会テーマは「想像力がリアリティをつくるImagination Creates Realities」で、世界各国から約180名が参加しました。


ハンネ・ぺデルセンさんと間崎真由子さん

日本でも開催!? 高知県大月町立大月小学校

日本での実践も始まっています。高知県大月町立大月小学校では、総合学習の地域学習にアニメーテッドラーニングを導入しています。指導しているのは間崎真由子さんで(注1)、他にデンマークから講師を招いて、チームティーチングによる指導が行われています。参加した子どもの人数と時間数は、5年生約40人に、授業8時間、放課後8時間(28年度)、5年生34人に授業約20時間(29年度)でした。子どもたちはグループに分かれ、大月町の自然や産業について調べ、それをアニメーションにして発表します。制作の技法の指導やアイデアを考えるときの援助は大人が行いますが、テーマ選びや、キャラクター作り、物語を考えるのは子どもたちです。デンマークから来た講師は英語で指導するので、子どもたちにとっては国際交流を体験する機会にもなっているようです。この授業にはESD(持続可能な開発のための教育)としての側面もあり、コミュニティを学び、その問題を解決したり、その良さを伝えていく手段としてアニメーションが高い親和性を持っていることがわかります。

※この授業の記録や関連情報はのサイトでご覧になれます。

「柏島の冒険がアニメに 2月18日上映 高知県の大月小児童製作」https://www.kochinews.co.jp/article/158470/
「【あにめのいろは】日記 」https://note.mu/irohanime/m/mae941f79d43b
「四国”絶景の秘境”大月町のこどもたちとヨーロッパをアニメーションでつなぎたい」https://motion-gallery.net/projects/animenoiroha

アニメーションを作らないアニメーテッドラーニングも

学校の授業以外でのワークショップもあります。この2月に行われた大月町の授業には、デンマークからカーステン・ユンカー (Karsten Juncher)さんが参加しました。カーステンさんは、子どもたちに、ペットボトルを組み合わせて構造物を作るワークショップを開催している方です。ペットボトルどうしを組み合わせるのには使い古しのテニスボールで作ったジョイントが使われており、廃材を活用した環境教育としての側面も持っています。大月小の子どもたちは、廃材のペットボトルを集めて自分たちの海賊船を組み立てました。この海賊船は子どもたちが作ったアニメーションのオープニング映像に使われています。
構造物の仕組みは力学的によく考えられていて、子どもが思いつきで組み立ててても、壊れてくる危険性がなく、短時間で巨大な構造物を作り出すことが可能です。できたものを動かしてアニメーションを作ることもありますが、手を使って考えながら構造物を作っていくというビジュアルな表現活動のプロセス自体がアニメーテッドラーニングだと考えられています。

※カーステンさんのワークショップはこちらでご覧になれます。Upfind https://www.facebook.com/Upfind.dk/

アニメーテッドラーニングの可能性と未来

アニメーションを作るためには、特殊な技術や機材が必要で大変だと思いがちですが、決してそうではありません。デジタル技術の進歩はアニメーション制作をも簡単なものにしました。タブレットPC上で動くアニメ撮影アプリを使えば、特殊な機材なしでアニメ制作のワークショップができてしまいます。デンマークや大月町の小学校でもiPadで制作が行われていました。あとは指導する大人がそのノウハウを習得すればいいだけのことですし、アニメーテッドラーニングの指導法を学んだ人を呼んでサポートを受けるという方法もあります。カーステンさんのように、アニメーションを作らないアニメーテッドラーニングのワークショップというものもあります。
アニメーテッドラーニングは、アニメーターを養成するための教育ではありません。もちろんそこで普段の生活では見られない才能を発見でき、そこから表現者への道を歩むことも可能でしょうが、基本的には、子どもが自ら学び、考え、人と繋がり、表現する、アクティブラーニングの先駆的実践であると同時に、子どもをメディア消費者から表現者へと転換させていく野心的試みでもあります。日本での導入を推進する機関として、5月に一般社団法人アニメーテッド ラーニングらぼ(略称 あにら)が設立され、デンマークや世界の先進地との連携をより強めていこうとしています。この新しい学習のムーブメントが「アニメ大国」を自他共に認める日本にどのような影響を与えるのか注目されます。

注1 間崎さんはデンマークで学び、現在日本でただ一人アニメーテッドラーニングの指導者としての認定を受けています。

※アニメーテッドラーニングについてさらに詳しく知りたい、ワークショップを開催したいという方は、アニメーテッドラーニングらぼの伊藤さん(hito@officeh.net)までご連絡ください。

(写真撮影:有吉氏)

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