冬のロンドンはイベントが目白押し

冬のロンドンはイベントが目白押し
尾形千賀(Chika Ogata)

イギリスは新年が明けて1月2日になると年末のあの騒ぎが嘘のように、通常の暮らしが戻ってくる。学校も7日から始まり、クリスマスの行事で費やされることの多かった前学期分を挽回するかのように子供たちにも荷が課せられる。ここではクリスマスは日本人のお正月と同じくらい大切なもの。この一大イベントを前に子供たちは実にやることがいっぱい。まずはサンタクロースへレターを書き、学校ではクリスマスキャロルとキリスト降誕劇の練習に明け暮れる。またロンドン市内だけでも11月後半から1月中は、クリスマスにちなんだ特別イベントが目白押しなので冬休みになると「お出かけ」回数も増える。

世界に誇るアートセンターのバービカンで開催された、映画クラブ「FramedFilmClub」主宰のクリスマスパーティは話題だった。同クラブは11歳未満の子供を対照に、世界の優れた映画を上映するメンバー制映画クラブで、特別ゲストを迎えたパーティで上映されたのは、英国の有名児童作家ジュリア・ドナルドソン原作の心優しい魔女と動物たちの交流を描いた短編アニメ「Room on the Broom」(原作「まじょとねこどん ほうきでゆくよ」)で、チケットは完売だった。

ドナルドソンの他の著書で根強い人気の2作品「Gruffalo」(原作「もりでいちばんつよいのは?」)と「Gruffalo‘s child」(原作「グラファロのおじょうちゃん」)もまた短編アニメ化されていて、クリスマス時期には必ずBBCでオンエアされる。これらは日本でも絵本が出版されている。

同じバービカンホールでは、12月22日、23日の2日限りで「オズの魔法使い」が生のオーケストラ付で特別上映された。生演奏付の名画上映は時折開催されていて去年の夏にロイヤルアルバートホールで行われたディズニーの「ファンタジア」が記憶に新しい。

更に年末年始にだけ封切られる「パント」(パントマイムの略)というイギリス特有の劇について述べておきたい。冬休みには家族そろって観にいくのが昔からの習慣になっているこの「パント」は、日本人が思い浮かべるあの無言の一人芝居(マルセル・マルソーの様な)のパントマイムではなく、「シンデレラ」「眠れる森の美女」「赤頭巾ちゃん」「ロビンフッド」「ジャックと豆の木」「白雪姫」などの昔話を脚色した観客参加型の歌ありダンスありの娯楽劇のことを言う。

地元の劇場で今年封切られたパント「ロビンフッド」

その歴史は古く、1714年が初演という。イギリスのどんな地方の小劇場でもこの時期になると「パント」が封切られる。子供も大人も楽しめるユーモアが満載で、劇中で「No, it isn’t」とか「 He’s behind you」などの決まり文句の掛け声をかけたり、ブーイングを入れたりするのが慣わしとなっている。パントには他にもお決まりのルールがある。主人公のヒーローは、若手の美人女優が演ずること。悪役の老婆や意地悪継母は女装の男優が演じることなどだ。

このようにして忙しかったクリスマスが去った今、1月の充電期間を経て、次の復活祭を目指して長く暗いイギリスの冬を乗り切ろう。

尾形千賀(おがたちか)
80年代のバブル期から1995年まで映画業界にて海外長編映画の買い付け、配給、販売に携わる。以後英大手ロジスティック会社に転職。2006年、出産を期に退職し、現在は母親業に専念。夫、二人の息子とイギリス在住。

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