
「こどもと映画」をテーマに、世界各地からのエッセイを月1回お届けいたします。第8回の担当はストックホルムの映画館プログラマー、マシアス・ホルツさんです。
晩秋をむかえたスウェーデン
底冷えがして屋外は湿気が多く、ストックホルムの通りを歩くと、11月の雨がストックホルムの通りを歩く僕にしとしとと降りかかる。寒くて、湿っていて不愉快きわまりない。スウェーデン人がひどくいやがる季節で、人によっては太陽を求めてあたたかい国へバカンスにでかける。でも暖かい屋内でリラックスする方法をみつけるには、よい季節でもある。だからこそ、暖かいセーターをきて良き友人をみつけ、何かを飲んであたたまり、近くの映画館にいく良い機会でもある。

若い観客にむけた映画館の活動に関して言えば、今年私たちは2才以上の小さなこどもたちにむけた活動に力を入れた。僕らは“よちよち歩きの映画館”と呼んでいる。映画は30〜45分なので小さな子どもたちも90分の映画をみるときのようにあきずに両親とみることができる。

(日本でも「リトルピンクとブロキガ」として絵本が出版されている)
この上映に参加するのはとても楽しいことだ。たいていの場合小さい子どもたちは映画館にくるのがはじめての経験だ。家でテレビやDVDをたくさん見ていたとしても映画館に行くのは全く違う経験だ。チケットを買い、席を探し大きなスクリーンをみるという何から何まですべてにわくわくする。。彼らは見ている間中、映画に素直に反応し、話し、笑い、映画についてコメントをする。素晴らしい映画館デビューの体験だ。僕はすごく小さい時に映画館に行く事は映画リテラシーを学ぶ上でとてもよいことだと信じている。
最も人気があるのが“Liten Skär och alla små brokiga”で広く知られた子どものための本をアニメーションにした作品だ。しかし公開まえには大きな議論を巻き起こした作品でもある。ある人々はキャラクターの外見が人種差別的と批判的だった。この議論は熱を帯び不幸なことにこの映画の持っているすてきなメッセージと素晴らしいアニメーションに少なからず影をおとした。でも結果的に映画はヒットし、僕は議論がおきるのはいつでもいいことだと考えている。
今年僕らはクラシック作品の上映をいくつか行った。ハロウィンには「E.T.」の30周年をお祝いして映画の特別上映をした。ドリンクやスナックなどたくさんのE.T.関連グッズを配ったし、お客さんがドレスアップしたり、楽しみやすいよう、ハロウィンの衣装を身につけて来場した人の入場料を無料にした。このイベントは本当に楽しくて子どもも大人も夢中で、大成功だった!
マシアス・ホルツ (Mathias Holtz)
スウェーデンのアート系映画の配給会社で働いた後、folkets hus och parker(「人々のための家と公園」)の番組編成を担当。同社は900の会員を有する公益法人で、222の映画館、劇場、遊園地、コミュニティセンターなどが含まれる。
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