映画と音楽が大好きな人の仕事とは?

録音技師の仕事

映画と音楽が大好きで何としても録音の仕事をしようとあらゆるつてをたどって、映画の世界に入って40年。録音技師の小野寺修さんにお話を伺いました。学生時代に、音はどのような仕組みで聞こえるのだろうと映画を観ながら考えていたのだそうです。

小野寺修
高校卒業後、1970年日活録音部に入社。95年からフリーとして活動。
代表作:「天地明察 」(2012) 「ブタがいた教室」 (2008) 「バッテリー」 (2006) 「花田少年史 幽霊と秘密のトンネル」 (2006)など。

録音とは映画の中のすべての【音】を作る人のことです。

≪1:撮影中≫

この仕事で一番大切なのでセリフの録音です。撮影現場でモニターを見たり、実際の俳優さん達の動きや芝居を見ながら、いくつものマイクでセリフを録音し、音のレベルを調整します。
セリフの意味合いを自然な感じで表現しているか、明瞭で聞き取りやすいか、ノイズなど雑音が入っていないかなど、注意深くモニターしながら録音していきます。
また、人物のアップのカットではセリフは少し大きめに、ロングのカットは小さめに録音し、バランスをとります。

時代劇の撮影では現代の音(例えば車の音、工事音など)が録音されないよう、車止めや工事音の音止めを制作スタッフにお願いして行います。どうしてもダメな場合は、アフレコ(後でセリフだけ映像を見ながら録音する)を行います。
川の流れる音、鳥の鳴き声や風の音など、空間に存在する音も録音します。必要な場合は音ロケといって撮影が終わってから別途、収録します。撮影をしていた場所の音は、映画に自然になじむからです。

≪2:撮影が終わったら≫

撮影が終わると編集部さんが、撮影された映像と現場で録音された音を合わせて編集していきます。その後、確認用のラッシュという試写を何回か経てオールラッシュで編集が終了します。オールラッシュまでには、かなりの回数の編集ラッシュを行います。

次にセリフのはりつけ直し、効果音録り、音楽の打ち合わせ、音楽録音と進んでいきます。音楽の打ち合わせは、作曲家、監督、録音部、そして仕上げスタッフと行い作品全体の曲の構成と入れる場所及び曲の時間を決めて、作曲家の方がスコア―を書いてその作品のためだけの音楽を作曲し、録音していきます。
そしてセリフ、効果音、音楽の材料がそろったところでバランス良く音の調整をしていきます。この工程をフィルムダビングといいます。調整の加減を言葉で説明するのは大変難しいのですが、うまくいった瞬間はこの仕事をやっていてよかったと思える程の感動があります。

衝撃だった「白鯨」

小野寺さんが映画に興味を持ったきっかけを伺いました。
「小学生の時、父親と見た「白鯨」に大きな衝撃を受けたのがきっかけ。映画ってこんなことができるんだと思った強烈な体験でした。」黒澤明監督の「用心棒」も中学1年生ぐらいに見て大好きだった映画です。「とにかく黒澤映画はすべて好き」とおっしゃっていました。

DVD発売中 ¥1,890(税込) 20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント
(C)2011 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

≪録音技師の仕事で欠かせない素養とは?≫

「録音の仕事で大切なのは生きた(嘘や作り物でなく)、生の音を聞くことです。そういう音を聞くことで感性が豊かになるのです。」と小野寺さん。40年たっても録音の仕事が大好きで、ワクワクしながら仕事をする小野寺さんの姿は、「好きを仕事にする」ことの素晴らしさを教えてくれました。(聞き手:工藤雅子)

取材協力:日活調布撮影所

≫北條誠人さん ユーロスペース支配人
≫山村浩二さん アニメーション監督 前篇
≫山村浩二さん アニメーション監督 後編
≫佐々木史朗さん プロデューサー
≫川島章正さん 編集者
≫赤澤環さん スクリプター

広告