
悪夢のかぼちゃグラタン
―『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』より
伊藤麻衣子 Maiko Ito
歩いていると、ふわ~っと金木犀の甘い香りが漂ってくる季節になりました。すっかり秋らしくなってきた最近ですが、街がオレンジ色のかぼちゃであふれていると思いませんか。
そう、10月31日はハロウィンです。私が初めてハロウィンを認識したのは、ディズニーアニメの『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』だった気がします。クリスマスを恐怖と悪夢に変えるかぼちゃの王子ジャックがシュールな魅力を放つ一本です。ハロウィンは日本ではあまりポピュラーではありませんでしたが、ここ数年で季節の行事として定着してきました。
今月はハロウィンにも楽しめるかぼちゃのグラタンを紹介します。
【材料】
かぼちゃ 1/4個
玉ねぎ 1/2個
ベーコン 2枚
バター 少々
生クリーム 1/2カップ
とろけるチーズ 適宜
塩 少々
こしょう 少々


かぼちゃの種をとって皮を洗い、食べやすい大きさに切ります。固いのでおさえながらゆっくりと。

玉ねぎは半分に切って皮をむき、くし型に切ったあと3等分に。ベーコンは1cmくらいに切ります。

フライパンにそのままベーコンを入れて炒めます。ベーコンの脂が染み出てきます。

そこに玉ねぎを加えて、風味づけにバターを入れて炒めます。

かぼちゃも加えて、全体にバターと脂がまわった感じになったら塩、
こしょうを加えます。

耐熱容器を用意して盛り付けます。この時に、黄色の実、皮の緑、ベーコン、玉ねぎをバランスよく入れると、出来上がりが違います。グラタン皿やガラスの耐熱皿などなんでも大丈夫です。今回はコウモリのイメージで黒のうつわに。

全体に生クリームをゆっくりとまわしかけて、チーズをお好みの量かけます。
オーブンは予熱をしておき、230度で23分焼きます。時間は焦げ目をみて調節してください。

出来上がりです。このごった煮感が、延々と繰り返す悪夢になんだか似ていませんか?
食べているうちにホックホクのかぼちゃと生クリームが混ざって、とろ~りと黄色いかぼちゃソースになってきます。家族みんなで楽しんでみてください。
ハロウィンを仮装した子供たちが「Trick or Treat!」(お菓子をくれないと、いたずらするぞ!)と家をまわるお祭りと思っていませんか?ハロウィンは元々はケルト人のお祭りなのだそうです。古代ケルトでは11月1日に暦が変わるので、10月31日はいわゆる大晦日にあたります。年がかわるその日は、先祖の霊だけでなく悪霊や魔女などの魑魅魍魎(ちみもうりょう)があふれてくると信じられていて、そのために仮装をして身を守り、火を焚いて悪霊を追い払ったそうです。その名残として、欧米では今も、不気味な顔にくりぬいた大きなかぼちゃ「ジャック・オーランタン」を家の前に置き、先祖の霊をよび、悪霊を追い払っているわけです。
私の大好きな『イン・アメリカ』の中にも姉妹が、アパート中を「Trick or Treat!」と大はしゃぎしながら回るシーンが出てきます。少し歴史を知ってから、季節の行事を楽しむのも良いものです。
伊藤麻衣子(Maiko Ito)
福島県白河生まれ。4人兄弟、男兄弟にかこまれて育つ。
今は映画などの宣伝と、沖縄の器の営業を生業に。料理上手の母を見て育ったので、気づけば料理が趣味に。今回はこのコラムで映画、器、料理と自分の好きなものをどう形にできるかが楽しみです。
美味日和~谷根千暮らし~