今でこそ見直したい‘メイド・イン・ブリテン’

「こどもと映画」をテーマに、世界各地からのエッセイを月1回お届けいたします。第3回の担当はロンドン在住の尾形千賀さんです。

今でこそ見直したい‘メイド・イン・ブリテン’

2012年は、今月初めのエリザベス女王戴冠60周年記念祝典に引き続き、7月のロンドンオリンピック開催という2大イベントにより、多くの英国の子供たちに英国人としての誇りとアイデンティティを改ためて見直す特別な1年になるであろう。

町中のいたるところにユニオンジャックの旗がなびき、4連休となるこの週末(6月2日から5日まで)はロンドン市内だけでもダイヤモンド・ジュビリー(60周年記念)を祝うストリートパーティ(公道を閉鎖し、地元住民が主催する屋外パーティ)がおよそ2千箇所で開かれる。昨年のロイヤルウェディングの2倍に値する数字だ。

私の息子(6歳)が通う小学校でも、休み前の金曜日にあたる6月1日には子供たちはユニオンジャックカラーの赤、白、青の服で登校し、一日中勉強抜きのお祭りだ。

1952年の戴冠式の記録映画「Coronation of Queen Elizabeth II」を鑑賞し、給食はうれしいパーティメニュー。楽しいのは結構だが、息子に聞いてみる。「ダイヤモンド・ジュビリーの意味わかる?」「うん、女王様になって60年目でしょ。」そう言ってゴッド・セーブ・ザ・クィーンを斉唱した。

最近の若者を対象としたある統計によると、恐るべき高率でウィンストン・チャーチルは架空の人物だと思っていたものが多いことがわかった。これは過去40年における学校教育で、英国の歴史を次第にジャンク化してしまったことにひとつの原因があるのかもしれない。

それによって、自国の習慣やその成り立ちすらわからぬまま、英国を過小評価するような悲しいジェネレーションが生まれてしまった。実際のところ、「イギリスが世界にどんな貢献をしたのさ?」などと冷め切ったことを言うものがいる。

ハリーポッターは?F1チームのマクラーレンは?チームドライバーのルイス・ハミルトンもジェンソン・バトンズもイギリス人。日本でも人気の「機関車トーマス」だってイギリス生まれ。

子供サイト‘Funkids’が紹介する「ダイヤモンド・ジュビリー:この時期家族で観たい英国映画ベスト10」を見てみると、イギリスを誇るアニメスタジオ、アードマン・アニメーション製作の 「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」 が1位にあがった。

誰もが知ってるウォレスとグルミットのキャラは子供たちも大好き。「Bunt-a-thon」と題したウォレスとグルミットのダイヤモンド・ジュビリー特別ミニアニメも新作で登場。
このように娯楽業界だけにしたって、考えてみればたくさんのすばらしいメイド・イン・ブリテンが存在するのだから、いうまでもない。イギリスの子供たち、胸を張って言おう「I am British」。

注:前述サイトFunkidsの2位以下の作品は下記のとおり。
(日本未公開作品が多いのが残念)

2位「ミリオンズ 」(2004)
3位「The Water House: Legend of the Deep」 (2007)
4位「秘密の花園」(1993)
5位「The BFG」 (1989)
6位「ウォーターシップダウンのうさぎたち」(1978)
7位「Swallows and Amazons」(1974)
8位「The Boy who turned yellow」(1972)
9位「007 ドクター・ノオ」(1962)
10位「ライムライト」(1952)

尾形千賀(おがたちか)
80年代のバブル期から1995年まで映画業界にて海外長編映画の買い付け、配給、販売に携わる。以後英大手ロジスティック会社に転職。2006年、出産を期に退職し、現在は母親業に専念。夫、二人の息子とイギリス在住。

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