アニメーション監督のしごと(2)

アニメーション監督の山村浩二さんの第2回は、具体的なアニメーション制作の工程についてお話いただきました。

Q:アニメーション制作の工程について教えて頂けますか?
山村:まず、アイデアをまとめて、絵コンテや、キャラクターデザインを作成します。

次に実際に使う絵を1枚ずつ手描きしていきます。紙は上に穴が開いていて、上部突起に差し込むことで位置が固定されます。これはタップ(英語ではペグバー)と呼ばれる器具で、世界共通のものです。
下には、どこまでが画面に反映されるかのフレームが書いてあるセル(透明なシート)があります。使用する紙は既成品もあれば、発注して作ってもらうこともあります。「頭山」は特注の色の付いた紙を使いました。

描いているうちに、絵コンテとはちがったものになっていくこともあります。手を動かしながら、考えていくという感じです。
「マイブリッジの糸」は、12分39秒の作品ですが、およそ6,400枚を山村さん一人で描いてらっしゃいます。この作品の制作期間は2年。明確になっているカットから描いて行って、迷っているところは、あとに回して試行錯誤しながら描いていきます。

次に描いた絵を、スキャナーでコンピュータに取り込みます。スキャナーは、思った以上に小さなものでした。位置を固定するために、左端にタップが貼付けてあり、そこに穴をあわせるよう工夫されています。

取り込んだ画像を、アニメーション制作ソフトで加工していきます。これは導入当時業務用のソフトウェアで、当初数百万していたのものが、現在では数万で一般の方も手に入れることができるようになったそうです。

取り込んだ画像を左側の「タイムシート」と呼ばれる表に、どの順番で、どの絵を並べるかを入力していきます。これが撮影の順番になるわけです。赤い枠線の中が画像として映る部分。ソフトには撮影カメラの機能があるので、描いた絵のどこの部分を撮影するかを設定することができます。

また、背景の絵と、手前の絵の焦点を変えたりすることもこのソフトで行うことができます。スキャナーで取り込んでからの作業は、製作期間全体の2~3割ですが、実際には絵を描くことと並行して進めていき、何度も修正を繰り返しながら完成させてきます。出来上がったカットを編集して、映像を完成させます。

「マイブリッジの糸」のヤマムラアニメーションスタジオでの作業はここまで。このあと音楽や効果音などの音響制作はカナダのNFBで行われました。その様子は、『東京/モントリオール』~「マイブリッジの糸」制作風景~として、「マイブリッジの糸」Blu-ray(8月25日発売)に収録されます。

山村さんは、映画制作はどのプロセスも楽しいですが、アニメーションは自分が描いたものがそのまま映画になっていくので、絵を生み出していく瞬間が一番楽しいとおっしゃっていました。

山村浩二 アニメーション監督
http://www.yamamura-animation.jp
1964年生まれ。東京造形大学卒業。90年代『カロとピヨブプト』『パクシ』など子どものためのアニメーションを多彩な技法で制作。2002年『頭山』が第75回アカデミー賞にノミネートされる。これまで国際的な受賞は70を越える。2010年文化交流使としてカナダで活動。 2011年カナダ国立映画制作庁との共同制作で『マイブリッジの糸』が完成。『くだもの だもの』『おやおや、おやさい』(共に福音館書店)など絵本画家、イラストレーターとしても活躍。ヤマムラアニメーション有限会社代表取締役、東京造形大学客員教授、東京藝術大学大学院映像研究科教授。

マイブリッジの糸 Blu-ray
© 2011 National Film Board of Canada / NHK / Polygon Pictures
発売予定日:8月25日
発売元:紀伊國屋書店
価格¥3,780(本体価格¥3,600)

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