白蛇伝

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蛇の精の美少女と心優しい青年の恋
記念すべき日本初の長編アニメ映画

中国の伝説をもとに、蛇の精である美少女と彼女を助けた青年の恋と冒険を描いた日本初の長編カラーアニメーションです。
この映画を見たことがきっかけでアニメ業界に入り、後の日本アニメの隆盛を築いたクリエーターも多いという、記念すべき作品です。

西湖のほとりに住む許仙(しゅうせん)という青年は、子どもの頃、飼っていた白蛇を大人たちに叱られて泣く泣く捨てたことがありました。その蛇は、やがて白娘(ぱいにゃん)という美しい娘に化け、胡弓の調べで許仙を誘い出し、妖術で作り出した大邸宅に招きます。白娘にすっかり魅了されてしまった許仙。ふたりは愛を確かめ合いますが、白娘を魔性のものと見破った法海和尚(ほうかいおしょう)により、ふたりの中は裂かれ、許仙は宝石泥棒と間違われて投獄、そして蘇州へ送られてしまいます。あきらめきれない白娘はその正体を現して法海和尚と妖術合戦になり破れます。一方、法海和尚から「白娘の正体は白蛇だ」と聞いてしまった許仙は・・・・・・。

草創期当時の日本のアニメーションの英知を結集して作られた作品です。中国の伝説らしい、骨太の波乱万丈の冒険と、主人公たちの恋が絡み合いながら展開。そこに、名脇役としてパンダはじめ、かわいい動物キャラクターが登場してなごませてくれます。戦いの描写などは現在のフルCGアニメなどから比べればかわいらしいものですが、逆に小さいお子さんにも安心して見せられるという点も。声の出演は森繁久彌と宮城まり子。人物の動きをトレースしてアニメーションにするために、当時東映に入社したばかりの女優、佐久間良子は毎日、白娘の衣装をつけてポーズをとっていたそうです。日本のアニメの歴史を知る意味でも貴重な作品です。(上坂 美穂)

上映時間:78分
日本語音声:あり
白黒/カラー:カラー
製作年:1958年
監督:大川博
声の出演:森繁久彌
声の出演:宮城まり子
メーカー:東映ビデオ
製作国:日本
原題:
備考:
親ゴコロポイント
  • いつかどこかで見たことのあるような、懐かしさのあるレトロな味わいの絵柄が印象的。昭和33年公開ということはもう50年以上前の作品ですね。当時は「日本でこんな素晴らしい作品が作れるのか」と内外を驚かせたそう。あの宮崎駿監督にも影響を与えたと新聞で読んだことがあります。中国らしい赤い色の使い方や、花の描き方など細かいところが工夫されているところが印象に残りました。