テラビシアにかける橋

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空想の上の王国を作り上げる少年と少女の物語
いじめ問題をベースにしたファンタジー

孤独な少年が、お隣に引っ越してきた少女と友情を育んでいく姿を描いたファンタジーです。アメリカではベストセラーになっている児童文学の映画化です。

アメリカの田舎町に住むジェスは、二人の姉と二人の妹に挟まれた唯一の男の子。あまり楽ではない暮らしなので、クラスメートにお下がりの姉の靴をからかわれたりして、学校では若干いじめられています。そんな彼は、空想の世界をスケッチブックに描くことで自分を慰めています。
そんなある日、ジェスのクラスに転向してきた利発な少女レスリー。お互いのうちに共通するものを感じ取った二人は、近所の森の中に「テラビシア」という想像上の王国を作り、毎日、スクールバスで帰宅してから、小川を飛び越え、「テラビシア」の王と女王として楽しく過ごします。しかし、そんな二人の友情は思いもかけない形で終わりを告げてしまうのでした……。

日本でもアメリカでも、学校では避けて通れない「いじめ」の問題をベースにしながら、孤独な少年と少女が自分の居場所として、空想上の世界を作り上げていく。その設定はとてもリアル。ふたりを取り巻く環境は決して楽ではないけれど、少女レスリーは持ち前の明るさと利発さで、そして少年ジェスは我慢することと、絵を描くことで自分を支えます。そんな二人が作り出した王国「テラビシア」は、ファンタジーの部分なので、巨人が出てきたり、リスの兵士たちに襲われたり、と冒険ファンタジー的な部分もありますが、映画の主要部分はそんな楽しい空想上の避難場所と地続きの苦い現実です。ただ、二人が行動することで、いじめっ子たちにも変化があり、現実の世界もちょっぴり変わっていくところに救いがあります。ラストでジェスのお父さんが「あの子に何かもらったろう? それを大事にしろよ」と、いう部分が印象的。「大切なもの」を失った経験を、どう生きていくかに変える大切さを教えてくれます。(上坂 美穂)

上映時間:95分
日本語音声:あり
白黒/カラー:カラー
製作年:2007年
監督:ガボア・クスポ
出演:ジョシュ・ハッチャーソン
出演:アナソフィア・ロブ
メーカー:ポニーキャニオン
製作国:アメリカ
原題:BRIDGE TO TERABITHIA
備考:
親ゴコロポイント
  • どんな国のどんな学校にも、きっといじめはある。つくづく子どもたちの生きていく大変さを思います。それを通り抜けて大人になったはずの私たちが、子どもにしてやれることは何なのだろう? 居場所を作ってやること、話を聞いてやること、励ましてやること? そんなところでしかない。ジェスの両親は、生活に忙しくてあまりジェスをかまっていなかったのですが、後半のお父さんとジェスのやりとりには変化が訪れます。よかった!