男はつらいよ 

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昭和の人情は「生まれも育ちも葛飾柴又!」
名作シリーズの原点でイキのいい「寅さん」を味わう

ギネスブックにも載った最長の「全48作」、のべ観客動員数は8000万人以上の、昭和を代表する人気映画シリーズの第一作。主人公の車寅次郎が引き起こす騒動を描いた人情喜劇です。

「わたくし、生まれも育ちも東京葛飾柴又です。姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します」。映画は主人公、寅さんが懐かしい故郷の柴又へ帰ってくるところから始まります。寅さんは中学時代に父親と喧嘩して家出をしたまま、テキヤ(口上とともに祭りなどで品物を売る露天商)として全国を渡り歩いていましたが、父は亡くなり、妹のさくらはエリートOLとして働きながら、叔父の営む団子屋に世話になっていました。そんなさくらに縁談が舞い込み、寅さんは付き添いとして高級ホテルのお見合いへ同行するのですが、お上品な見合い相手の一家を前に(思ったとおりの)ひと騒動に……!?

主人公の寅さんを演じる渥美清は、これが第一作目だけあって若くて元気いっぱい。聞いていて気持ちのいい、きりっとした口上や、チンピラ風な所作も含めて、子どもたちをも引き付ける魅力があります。おいちゃん夫婦、裏のタコ社長を始めとした寅さんを取り巻く人々も生き生きとして、笑いのうちに「昭和の人情」を伝えてくれます。「男はつらいよ」というタイトルが示すように、思い通りにはならない人生や、人間の喜怒哀楽がちゃんと描かれているのがミソですね。見た後は、舞台になった帝釈天や矢切の渡しの、のどかな風景が妙に懐かしく、行ってみたくなります! (上坂 美穂)

上映時間:91分
日本語音声:あり
白黒/カラー:カラー
製作年:1969年
監督:山田洋次
出演:渥美清
出演:倍賞千恵子
メーカー:松竹
製作国:日本
原題:
備考:
親ゴコロポイント
  • お盆とお正月に映画館で(そしてTVの映画番組で)、「男はつらいよ」のシリーズ後半を普通に見ていた昭和の子ども時代。私にとっては「ふーん……」という存在の映画シリーズでしたが、改めてこの第一作の完成度の高さにびっくり。テンポもよく、無駄がない! 「寅さん」のいいところはいわゆる「立派な大人」ではないところ。人間の価値は職業やお金持ちかどうかのみで判断されるのではない。ちょっと「ダメ」なところがあってもいい。顔で笑って心で泣いて、誠実に人生を生きて行こうじゃないか……。