ノンちゃん雲に乗る

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ほのぼのとしたタッチ
少女の目線で綴る家族の姿

8歳の少女ノンちゃんの生活をファンタジー・タッチで綴る物語です。

冒頭、大声で泣きながら登場する主人公のノンちゃんは、ひょうたん池の木に登って池の中に落っこちます。長い熊手を持った不思議なおじいさんがノンちゃんを雲の上に引き上げてくれますが、そこでクラスメートの長吉とばったり。天敵同士のふたりのいきさつを、おじいさんは面白そうに聞いてくれます。そしてノンちゃんは、自分の大好きなお母さん、いばりんぼうのお兄ちゃん、そしてお父さんについてもおじいさんに話し始めます。そして、なぜノンちゃんが泣いているかということも……。

原作は昭和26年に発表された石井桃子の児童文学。ノンちゃん演じる鰐淵晴子は目のパッチリした美少女で、映画の中ではヴァイオリンとバレエを披露します。(歌うシーンも挿入されていて、ちょっぴりミュージカル仕立てでもあります)。しかし、映画の描写の本題は、子どもたちの日常生活。まだテレビなど無い時代で子どもの遊びも野外中心だし(インデアンごっこや源平合戦ごっこをやっています!)、お母さん(原節子)は着物姿だし、現代とは違う部分も多いのですが、変わらないのは友だちや兄妹でのけんか、いたずらしてお父さんに叱られるお兄ちゃんの姿やお母さんを慕う気持ちなどの人間関係。そんな今も昔も変わらない大切なことに気づかされつつ、ほのぼのした牧歌的な時代の雰囲気にひたれます。(上坂 美穂)

上映時間:84分
日本語音声:あり
白黒/カラー:白黒
製作年:1955年
監督:倉田文人
出演:鰐淵晴子
出演:原節子
メーカー:バップ
製作国:日本
原題:
備考:
親ゴコロポイント
  • 映画の冒頭「この映画をよい子のみなさんへ贈ります」というテロップがでますが、「よい子」って、なんでしょうね。「私は先生の言いつけも守るし……」と得意げなノンちゃんに、おじいさんは「それは杓子定規じゃなあ」と優しく諭します。これは深い! ノンちゃんの天敵の長吉も、お兄ちゃんも、それぞれにいいところがあるのだということをさりげなく言い聞かせる部分に、親として、はっとしました。