
原爆と銀幕
映画で描かれたヒロシマとナガサキ、そして被爆者。
1945年8月6日と9日、広島、長崎に投下されたた原子爆弾は、その後の世界のみならず、わたしたちの表現の歴史も変えていきました。いままで映画が原爆をどのように描いてきたかに注目した特集上映が開催されています。今回の特集を企画したユーロスペース支配人の北條さんに、子どもたちも鑑賞可能な作品を選んで頂きました。
「同じテーマでも、様々な描き方があるのだということ、また時代によって描き方が変わっていっていることに注目して見てください。子どもたちが、原爆、戦争の犠牲になったことを知り、二度と同じ過ちをおこさないために、私たちができることを考えるきっかけとなることを願っています。」と北條さんはおっしゃいます。北條さんからの鑑賞ポイントを参考にぜひ劇場に足を運んでみてください。
上映期間:7月30日(土)~8月12日(金)
会場:ユーロスペース
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≪短編アニメーション集≫
『ながさきの子うま』 監督:河野秋和/1989年
『おこりじぞう』 監督:板谷紀之/1983年
『ピカドン』 木下蓮三・木下小夜子作品/1978年
<北條さん鑑賞ポイント>
短い上映時間のなかに凝縮した緊張感で広島、長崎に生きた人々を描いています。特に「おこりじぞう」は圧巻です。山口勇子の原作は、小学校3年生の教科書にも載りました。広島で被爆し、苦しみながら水を求めた少女のために、涙をながずお地蔵さんの物語に胸がしめつけられます。
『はだしのゲン』
原作:中沢啓治/監督:真崎守/アニメーション作品/1983年
<北條さん鑑賞ポイント>
最近、原爆の悲惨さを、子どもたちに見せるのはトラウマになるからダメだという議論がありました。しかし、この作品の真のテーマは「生き抜く」ということ。今を生きる子どもたちにも身近なテーマです。また、本作の美術監督をつとめたのは、「となりのトトロ」でトトロの森を描いた男鹿和雄さん。一級のスタッフが作ったこの映画をぜひご覧になってください。
『はだしのゲン』
原作:中沢啓治/監督:山田典吾/出演:三國連太郎、左幸子/1976年
<北條さん鑑賞ポイント>
中沢啓治のマンガを、実写映画化した作品で、アニメーション版の7年前に作られました。同じ原作であっても、描き方やエピソードが、どう違うかに注目して両方見比べてみてください。
『ふたりのイーダ』
原作:松谷みよ子/監督:松山善三/出演:倍賞千恵子、前田吟/1976年
<北條さん鑑賞ポイント>
松谷みよ子の原爆をテーマとしたファンタジーの物語を、映画ではどのように描いたのでしょうか? 亡くなったイーダという少女を待ち続ける不思議な椅子を巡るファンタジーを通して、記憶を語り継ぐことの大切さが描かれています。
『ピカドン』(C)Studio Lotus