もっと知りたい!子どものためのミュージカル入門

もっと知りたい! こどものためのミュージカル映画入門

2014年は『アナと雪の女王』の主題歌が、こどもたちの間でも大人気でした。もっとミュージカル映画を見てみたい!というこどもたちのために、現在「ポスターでみる映画史Part 2ミュージカル映画の世界」が行われている東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員の岡田秀則さんに、その歴史と楽しみ方、こどもたちへのおすすめ映画を伺いました。

ミュージカル映画の誕生
ミュージカル映画が生まれるきっかけは、1927年の『ジャズ・シンガー』で映画に音がついたことでした。最初はヨーロッパのオペレッタ映画(軽快な歌劇を取り入れた映画)を真似ていましたが、ブロードウェイから人材がハリウッドに移ってきたことで1930年代に大きく発展しました。

またニューヨークに行けない地方の人々にとって、地元の映画館で、手頃な価格で楽しめるミュージカル映画は、ブロードウェイ体験の代用として大人気を集めました。
この時代を代表するのが、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのコンビ。『トップ・ハット』(1935)、『有頂天時代』(1936)など9本の映画に出演し、優雅な身のこなしと華麗なタップダンスで、人々を魅了しました。

50年代、第二の黄金期
1950年代になると、MGM社が『巴里のアメリカ人』(1951)や『雨に唄えば』(1952)などのヒット作を次々に生み出します。それは、ブロードウェイの原作にはこだわらず、むしろ人気スターの起用が大切でした。
50年代後半になると、「歌唱・踊り・演技」の三つ全てを高度にこなせるエンターテイナーが少なくなったこともあり、物語に重点を置く作品が増えていきます。またシネマスコープにより大画面化が進むと、ミュージカル映画も大作が作られるようになりました。『マイ・フェア・レディ』(1964)、『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)などの大ヒット作が作られたのもこの時期です。また1961年の『ウエスト・サイド物語』のように現実の社会問題を反映した作品も作られるようになり、大きな変化を迎えます。

現在のミュージカル映画
1970年代以降はアメリカ映画においても、ミュージカルは限られたものとなりましたが、ブロードウェイからの翻案を中心に『シカゴ』(2002)、『マンマ・ミーア!』(2008)、『レ・ミゼラブル』(2012)などのヒット作品が生まれています。
また、ディズニーが94年に『美女と野獣』でブロードウェイに進出して以来、ディズニー作品が次々に舞台化されました。
『リトル・ダンサー』を舞台化した「ビリー・エリオット」、『サタデー・ナイト・フィーバー』など映画から舞台へという流れもあり、ブロードウェイと映画は、ミュージカル誕生の初期から今日に至るまで密接な関係にあります。

日本にもあった! ミュージカル映画
アメリカでミュージカル映画が、成功したのを見て日本でもミュージカル映画への試みがなされました。特に1930年代後半にマキノ正博が作ったオペレッタ映画『鴛鴦歌合戦』(1939)は、その明るさ、軽快さで近年再評価が高まっています。終戦後、アメリカ文化の象徴であるミュージカル映画は、日本でも人気がありましたが、製作という面では手間がかかることに加え、日本映画が得意とする題材や志向とはあまりそぐわず、発展はしませんでした。

ミュージカルの3つの楽しみ方
①知っている歌が出てくる映画を見てみよう
歌は聞いたことがあるのに、映画を見たことがないという作品はたくさんあるものです。学校やCMでよく耳にする「ドレミの歌」や「わたしのお気に入り」は、『サウンド・オブ・ミュージック』からの曲。公開されたばかりの『アニー』の主題歌「トゥモロー」も一度聞いたら忘れられない名曲です。『オズの魔法使い』の「虹の彼方に」や、『メリー・ポピンズ』の「チムチムチェリー」もきっと聞いたことがあるのでは?

②スターや作曲家にこだわって見てみよう
30年代に一世を風靡したアステア=ロジャースや、50年代に活躍したジーン・ケリーの作品を続けて見てみてはいかがでしょう。
また作詞・作曲家で選ぶのもよい方法です。『メリー・ポピンズ』のシャーマン兄弟、『リトル・マーメイド』のハワード・アシュマンとアラン・メンケン、『サウンド・オブ・ミュージック』の巨匠ロジャース&ハマースタインⅡ世のコンビも数々の名曲を生み出しています。

③ポスターを見て、興味を持った映画を見てみよう
何をみたらいいの?という方には、お気に入りのポスターから興味を持って、映画を見るのもアイデアです。ミュージカルのポスターはカラフルで楽しいものが数多くあります。
「ポスターでみる映画史Part 2ミュージカル映画の世界」は、イラストレーター/デザイナーの和田誠氏が所蔵するオリジナル版のポスターを中心に、ミュージカル映画ポスターのコレクター大山恭彦氏のポスターも加えて、アメリカン・グラフィックの王道ともいえる明るく楽しい表現をお楽しみになれます。

会期:2015年1月6日(火)~3月29日(日)
料金:一般210円(100円)/大学生・シニア70円(40円)/高校生以下及び18歳未満、障害者(付添者は原則1名まで)、MOMATパスポートをお持ちの方、キャンパスメンバーズは無料
会場:東京国立近代美術館フィルムセンター 展示室(企画展)
詳細HP:http://www.momat.go.jp/FC/musical/index.html

こどもたちにおすすめのミュージカル映画

未就学から
『メリー・ポピンズ』(1964)

魔法を使えるナニーが家にやってきた! シャーマン兄弟の名曲「チムチムチェリー」や「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」が楽しい。

『チキ・チキ・バン・バン』(1968)

愛車と共に冒険の旅に出発! シャーマン兄弟の陽気な主題歌「チキ・チキ・バン・バン」が耳に残る。

小学生から
『トップ・ハット』(1935)
勘違いから恋が迷走するミュージカル・コメディ。アステア=ロジャース・コンビの最高傑作。

『足ながおじさん』(1955)

足ながおじさん DVD発売中  ¥1,419+税 20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント
(C)2014 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

ウェブスターの少女小説のミュージカル映画。フレッド・アステアの華麗なダンスが楽しめます。

中学生から
『ウエスト・サイド物語』(1961)

ウエスト・サイド物語 ブルーレイ発売中 ¥1,905+税
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント
(C)2014 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

「ロミオとジュリエット」をニューヨークの下町に置き換えた悲恋の物語。「トゥナイト」や「アメリカ」などの名曲の数々を作曲したのはレナード・バーンスタイン。

和製ミュージカル(小学生から)
『鴛鴦歌合戦』(1939)

着物姿の殿様たちがジャズをバックに歌い踊る、爆笑オペレッタ時代劇。

『君も出世ができる』(1964)

「君も出世ができる」 DVD発売中 ¥4,500+税 発売・販売元:東宝

和製本格ミュージカル映画の傑作。高度成長時代に出世を目指すサラリーマンを巡るラブ・コメディ。作詞を谷川俊太郎、音楽を黛敏郎が担当。

もっとミュージカル映画について知りたい方は、「プロが選んだはじめてのミュージカル映画」(近代映画社刊)を読むのもおすすめです。

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