2014年パパ・ママ映画ジャーナリストが選んだベストワン

©2014映画「銀の匙 Silver Spoon」製作委員会 荒川弘/小学館

2014年パパ・ママ映画ジャーナリストが選んだベストワン

今年もお子さんのいらっしゃる映画ジャーナリストのみなさんに、2014年ベストワンを邦洋画1本ずつ選んで頂きました。見逃した映画はDVDでぜひチェックを!

★洋画ベストワン★

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

相馬学さん
中学生の息子が読んでいる週刊少年ジャンプを目にする度に、「”友情””努力””勝利”の三原則は今も貫かれているんだなあ」と実感する。それを洋画のスケールで映画化したかのような本作。宇宙のはみ出し者たちが図らずも結束して、平和な惑星を悪党から守ることになる。いがみ合いながらも芽生える絆も、危機に直面して発揮される負けん気も、後味の痛快さも魅力的。スケールの大きなVFXアクションにも目を奪われる。原作は『アベンジャーズ』等でおなじみのマーベル発のアメコミだが、そのメンタリティはむしろ日本の漫画に近い。

LEGO®ムービー

森直人さん
外国映画ではなんといっても『LEGO®ムービー』。おなじみの組み立てブロックで作られたキャラの物語が展開するキッズムービーですが、映像的にも内容的にも「子どもだまし」の先入観をぶっ飛ばす傑作です。
舞台となる世界(=レゴブロックのジオラマ)は資本家に支配されたディストピア。主人公のレゴ人形男子・作業員のエメットは、ごく普通の……を通り越して、何もモノを考えたことのない従順なシステム社会の奴隷(好きなレストランはファミレスで、好きな音楽は一番流行っている曲etc)。そんな彼が「選ばれし者」という世界の救世主に間違われてしまうという風刺力満点のストーリー。『スター・ウォーズ』や『バットマン』などがごちゃまぜに登場し、終盤にはあっと驚く構造の仕掛けがあり、オチは爆笑&戦慄。すべてが考え抜かれたハイクオリティ。子どもよりも親のほうが興奮してしまう作品の典型かも?


ホビット 決戦のゆくえ 上映中
©2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.

ホビット 決戦のゆくえ

久保玲子さん
『ロード・オブ・ザ・リング』好きの息子と、フロドのおじいちゃんであるビルボ・バギンズの物語『ホビット』3部作を、ここ3年間、年に1本のペースで楽しんできました。惜しくも昨年末に閉館したミラノ座の巨大スクリーンに映し出された闇の森やはなれ山の絶景!黄金の部屋でビルボを待ち受ける巨大竜スマウグの邪悪な咆哮(声/カンバーバッチ)!そして悪の暝王復活を阻むために闘う戦士、友を思い、平和のために勇気と知恵を振う小さき人ビルボの大冒険に親子で心躍らされた161分でした!

バルフィ! 人生に唄えば

金原由佳さん
この映画には、子どものもって生まれた個性を、自分の理想とする子ども像とは違うということで、その子を愛せない親が登場します。また、自分の娘が心から愛する男性を見つけたのに、子どものように純粋無垢な彼の価値を見いだせず、経済力のある男性との結婚を押し付ける親も出てきます。なにかと子どもの人生に介入して、子どもたちが心から望む人生を捻じ曲げてしまう大人の姿にいろいろ考えさせられるかと。境遇の全く違う二人の女性に愛されるバルフィはチャップリンやキートンの無声映画の主人公のように飛んだり跳ねたりドタバタしていて楽しくて、低学年のお子さんには向かないかもしれないけれど、字幕が読めるような年齢の方にはいろんなことを伝えてくれると思います。

世界の果ての通学路

落合有紀さん
私には通学路が2つありました。ひとつは通学路の中間に豚小屋があり、息を止めて駈け抜けるのが登校班のお約束でそた。もうひとつは城跡の脇を通る道で、深いお堀には勝手気ままに育った木々が茂り、時に変質者が出没する少々怖い通学路。どちらも徒歩15〜20分くらい。小学6年生の息子の通学時間は、徒歩1分未満で、階段を上るだけの超短距離通学です。うらやましい。親子で『世界の果ての通学路』を見ました。片道15kmを走るケニアの兄妹、馬に乗って無人の平原を行く兄妹、家族で初めて学校に通う女の子。そして、親子で爆笑した、インドの3兄弟。歩行障害を持つ長兄のために、弟ふたりがボロボロの車いすで学校に連れて行くのですが、恐らく、弟ふたりは教育を受けていません。彼らが学ぶ理由は、家族に良い暮らしをさせたい、同じような障害を持つ子供を助けたいなどと明確です。目標を掲げるのは簡単、でも、努力を継続するのがなかなか難しい。この子たちは軽やかに実行する姿からは、「もっと学びたい」という強い意志が感じられました。翻って、自分はどうでしょう。息子はいわれたことをただやっているだけの様子です。嘆かわしい……。勉強する意義を親子で考えるには、うってつけの映画です。

★邦画ベストワン★

『銀 の匙 Silver Spoon』発売中
発売元:TBS/小学館 販売元:ポニーキャニオン
【並盛版】DVD¥3,800(本 体)+税、Blu-ray4,800(本体)+税
【特盛版】DVD¥6,200(本 体)+税、Blu- ray7,400(本体)+ 税
©2014映画「銀の匙 Silver Spoon」製作委員会 荒川弘/小学館

銀の匙 Silver Spoon

相馬学さん
恥ずかしながら人気コミックの映画化であると知らずに映画を見たが、その中身のみならず、こういう漫画が存在していたことに感心させられた。目的もないまま農業高校に入学した少年が悩みながら一歩ずつ成長する物語。その胸の内がリアルにとらえられており、”自分にもこういう時期があったなあ”と共感を抱かせる点が、まずイイ。農業の現実を伝え、動物を殺して食べることの意味を問いかける、そんな深みにも好感を抱いた。考えさせ、なおかつユーモアも楽しませる良質の娯楽作。

森直人さん
日本映画では『STAND BY ME ドラえもん』や『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』、『映画 クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』などのアニメ作品も良いですが、ここではもっと評価されて欲しい実写映画『銀の匙 Silver Spoon』を推します。荒川弘の人気マンガを、Sexy Zoneの中島健人主演で俊英・吉田恵輔監督が映画化。北海道の大自然を舞台に、酪農の現場で奮闘する農業高校の生徒たちの日常を描きます。自己実現など大切なテーマがたくさん含まれていて、中学生以下にもぜひ観てもらいたい珠玉作。とりわけ迷える男の子にはグッとくるはず!

ルパン三世 カリオストロの城 デジタルリマスター版

久保玲子さん
日本映画は残念ながらこれぞという作品にめぐり合えなかった1年でした。なので、デジタルリマスター版はどんな具合かと興味を覚えた『ルパン三世 カリオストロの城』に。子ども心にも、ルパン三世、次元大輔、石川五右衛門、銭形刑事、不二子ちゃん、そして囚われの美少女クラリスと、横しまな伯爵といったキャラ立ちした登場人物像や、ルパンらのユーモアとヒロイズムに惹かれたようです。

円卓 こっこひと夏のイマジン

金原由佳さん
「円卓 こっこ、ひと夏のイマジン」の主人公のこっこは小学校3年生です。こっこは、同じクラスのお友だちの人と違うところを、「私たちと同じじゃない」といって嫌がる子ではなく、むしろ、「かっこええなあ」「わたしもそうなりたい」と思える素敵な女の子です。こっこには三つ子のお姉さんがいて、他人には見分けがつかないくらいそっくりですが、性格も男の子の趣味も全然違う。ひとはひとりひとり違うのは当たり前だし、その違いにこそ、その人の個性が宿っているというのがこの映画のメッセージです。こっこと、こっこのボーイフレンドのぽっさんが、ぽっさんの吃音について語り合う場面でも、他の人と違うことを恥じない、ということを伝えます。関西には人と違うことをする目立ちたがりの人を、「いちびり」といって愛すべき人として称する言葉がありますが、子どもってもともといちびりさん。それを押さえつけようとしない大人になるために、お父さん、お母さんたちにも見てほしい映画です。高学年のお子さん以上には、食べること、生きることの目標を教えてくれる「銀の匙 silver spoon」がおすすめです。

STAND BY ME ドラえもん

落合有紀さん
ドラえもんはなぜ、のび太と暮らすようになったのか?アニメやコミックでおなじみのドラえもんの登場秘話を、『ALWAYS 三丁目の夕日』の山崎貴と『もやしもん』の八木竜一が3DCG化。お見事、大成功です!これまでのドラえもんに満足していたので3DCG化には期待していませんでした。『STAND BY ME ドラえもん』で初めて、ドラえもんが伸び縮みする素材でできていて、触ったら柔らかくてほんのり温かいんじゃないかと気づかされました。まあるい手と握手してみたいなあ。どんな感触なんだろう。ドラえもんを知る人なら、誰もが「こんなとき、ドラえもんがいたら……」と夢描いたことがありますよね。『STAND BY ME ドラえもん』では、夢が現実に近づいた気がしました。ドラえもんに触りたい、ハグされたい。本当に、もう少し待てばドラえもんができるかもしれない。いい大人がこんな夢見心地になるんだから、子供たちはもっとワクワクしながら見るよね。

(順序不同)

★おまけ~こども映画プラスの2014年おすすめ2本★

夢は牛のお医者さん
獣医になりたいという少女の夢を新潟県のローカル局、TeNYテレビ新潟が26年間追ったドキュメンタリーです。夢にむかってひたむきに努力する少女と、それを見守る家族、そしてカメラの視線が暖かい、素敵な映画です。『銀の匙 Silver Spoon』と合わせてみてみると興味深いです。

6才のボクが、大人になるまで。
12年間、同じ俳優・スタッフで年に数日間撮影しながら作り上げたという画期的な作品です。子どもも親も12年という時間の中で、ゆっくり変化し、成長していきます。時間をかけたからこそ生まれるリアリティが圧倒的です。PG13なので、親子で一緒に見られない方もいらっしゃるかもしれませんが、5年後、10年後にお子さんを誘って見て頂きたい1本です。

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