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小さなニュースが世界人々の心をつなぐ
実話に基づくヒューマン・ストーリー
インターネットも携帯もない時代。海に閉じ込められてしまったクジラを報道した地方発の小さなニュースがアメリカ全土から世界に広がり、様々な立場、思惑を持った人々の心をつなげていく様子を描いた、実話に基づくヒューマンドラマです。
1988年10月。アラスカ最北の地でテレビ・リポーターをしているアダムは、取材中に偶然、氷の下に閉じ込められている3頭のコククジラを発見し、ニュースとして中央のテレビ局に送ります。そのニュースを観てアダムに電話をしてきたのが、アダムの元恋人でグリーンピースの自然環境保護活動家レイチェル。このままではクジラが食用になると聞き、砕氷船を出してもらえるように奔走します。
そこに協力を名乗り出たのが地元の石油採掘会社社長。環境保護に熱心なレイチェルの敵ではありますが、クジラのために手を組むことにします。気がつけばレーガン大統領、アメリカと冷戦中だったソ連も巻き込み、クジラ救出作戦は世界の人々が固唾をのんで見守る、ビッグ・ニュースに発展。はたしてクジラたちは無事に救出されるのでしょうか……?
アナログな時代に、まるでツイッターのように、どんどん人の輪や気持ちがつながっていく様子を見ていると、心がじんわり温まっていくのを感じます。地方のテレビ・レポーターと熱血女性活動家、イメージアップを図る石油採掘会社社長、選挙に利用しようとする政治家、仕事熱心な州兵司令官、出世を狙う都会の女性レポ―ター、そしてクジラをこよなく尊敬する捕鯨民族イヌアピト。誰を悪者にすることもなく、それぞれの立場、言い分、思いをフラットに描いている姿勢にも好感が持てます。
「冷たい」氷の世界の「温かい」絆の物語。字幕での上映になりますが、自然科学、ニュースに興味のある小学校中学年以上のお子さんとなら、楽しめる上に会話も弾みそうです。ラストで当時のニュース映像も流れるのでお見逃しなく! (上原 千都世)
日本語音声:なし
白黒/カラー:カラー
製作年:2012年
製作国:アメリカ
原題:BIG MIRACLE
備考:

- 地元の少年がアダムからもらって喜ぶカセットテープ、ウォークマン(テープの中身はU2やガンズ&ローゼズ!)、黒電話に当時のファッションなど、80年代に青春を過ごした親世代には懐かしさ満載です。寒さをナメてる(笑)多くの報道陣相手に商売を始める、地元の男の子のたくましさにも思わず感心。クジラの行方が気になって仕方ない生徒ばかりの小学校授業シーンも、子どもの優しさが感じられて微笑ましくなりますね。