蜂蜜のパウンドケーキ

甘くてほろ苦い、蜂蜜のパウンドケーキ
―『リリィ、はちみつ色の秘密』より―
伊藤麻衣子 Maiko Ito

子供の頃、私の母はよくお菓子を作ってくれました。ショートケーキ、レアチーズケーキやいちごのババロア、フルーツゼリー、チーズクッキーなど色々レパートリーがあったもので、いつか「家がケーキ屋さんになったら良いのに」と小さな夢を抱いていたくらいです。たくさんお菓子の想い出はありますが、19歳になった私がネパールに旅行に出かけた時、母が持たせてくれたパウンドケーキの味は今も忘れられません。一日中の山登りに疲れた夜、山の上で食べたパウンドケーキの美味しかったこと。甘みが疲れた身体と心を和らげてくれました。

今月は『リリィ、はちみつ色の秘密』に登場する蜂蜜のパウンドケーキを作ります。

黒人女性のオーガストが営む養蜂場で暮らすようになったリリィ(ダコタ・ファニング)。彼女が生活する小屋には窓辺にびっしりと蜂蜜の瓶が並んでいて、日に当たった飴色の蜂蜜が輝いています。今回は秋にぴったりの少し苦みのある栗の蜂蜜を使います。

材料はいたってシンプル。
今回は蜂蜜と相性の良いレモンも加えていきます。
まずは卵三つを卵黄と卵白に分けていきます。
卵白に卵黄が入らないようにご注意を。
卵白を泡立ててメレンゲを作ります。
卵白は冷やしながら泡立てるときれいに仕上がります。
以前は氷水でつくっていましたが、保冷剤を使えば
長続きしますし水が入る心配もなく簡単です。
ハンドミキサーで、角がしっかり立つまで根気よく泡立てましょう。
常温で戻した無塩バター100gに、ふるっておいた砂糖80gを加えて、
砂糖のジョリジョリ感がなくなるまで
ハンドミキサー(または泡立て器)で混ぜます。
そこによく混ぜた卵黄を2、3回に分けて加え混ぜ合わせます。
蜂蜜30gとレモン1個分の果汁と千切りした皮を加え、
ゴムべらで切るように混ぜ合わせます。
ふるっておいた薄力粉130gを加えて、切るように混ぜます。
こねないこと!
メレンゲの3分の1を加えて、さっくりとまぜます。
残りのメレンゲも加えて、泡をつぶさないように気を
付けながら混ぜ合わせます。
切るようにまぜるとうまくいきます。
こんな状態になります。
長方形の型に高い位置から流し込みます。
10cmくらいの位置から何度か型を落として
中の空気を抜いていきます。
こぼさないように注意。
余熱で温めたオーブンに入れて、170度で50分間焼きます。
焼き上がりです。型に入れたまま冷ましていきます。
徐々にしぼんできます。冷めてきたら、そっと型から外します。
好みで切り分けてください。
お皿に盛って、切る時にポロポロおちた部分は上からかけ、
蜂蜜をまわしかけて完成です。

『リリィ、はちみつ色の秘密』の舞台は公民権法が成立した1964年のアメリカ。14歳の白人の少女リリィは幼い頃の母との辛い別れを背負いながら、父と暮らしています。粗野な父とはうまくいかず、たった一人、黒人のメイド、ロザリンだけが彼女の世話を焼き、優しい言葉をかけてくれます。公民権法が成立したとはいえ、人種差別が横行する時代、町に出かけたリリィとロザリンは差別主義者の人々に絡まれ、逆らったロザリンは連行されてしまいます。そのことがきっかけで、ロザリンと共に家出したリリィがたどり着いたのが黒人の三姉妹、オーガスト、ジューン、メイが暮らす養蜂場。そこでリリィは、温かな三姉妹とロザリンに囲まれながらたくさんのことを学んでいきます。

リリィ、はちみつ色の秘密<特別編> DVD発売中 ¥1,490(税込)
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント
(C)2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.
All Rights Reserved.

心が締めつけられる悲しい出来事があった次の日、ロザリンが蜂蜜のパウンドケーキを焼き、仕上げにたっぷりの蜂蜜を回しかけます。何か辛いことがあった時、心が疲れてしまった時は、甘いものを食べて心を落ち着けることはとても大切です。その甘みがきっとあなたの心を癒してくれるはずです。
今回はほろ苦い栗のはちみつを使いましたが、今はいろんな植物から生まれた蜂蜜がたくさんあります。好みのもので、お気に入りの味に仕上げてください。

伊藤麻衣子(Maiko Ito)
福島県白河生まれ。4人兄弟、男兄弟にかこまれて育つ。
今は映画などの宣伝と、沖縄の器の営業を生業に。料理上手の母を見て育ったので、気づけば料理が趣味に。今回はこのコラムで映画、器、料理と自分の好きなものをどう形にできるかが楽しみです。
美味日和~谷根千暮らし~

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