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こども映画プラスが心からおすすめする新作映画を、該当作品があった時だけ不定期でご案内するコラムです。一緒に見たいプラスアルファの作品もご紹介いたします。
今回は、5月25日から公開中のウェス・アンダーソン監督のストップモーション・アニメ「犬ヶ島」。人間によって島に置き去りにされた犬たちと、愛犬を探す孤独な少年の日本を舞台にした心ゆさぶる友情物語です。
<おはなし>
近未来の日本。犬インフルエンザが大流行するメガ崎市では、人間への感染を恐れた小林市長が、すべての犬を“犬ヶ島”に追放する。ある日、愛犬で親友のスポッツを救うため、12歳の少年アタリは一人小型飛行機に乗り込み、その島に降り立つ。スポッツの探索を始めたアタリは、勇敢で心優しい5匹の犬たちと出会い、友情が芽生える。彼らはメガ崎の未来を左右する大人たちの陰謀に巻き込まれるのだが…。(小学校低学年から)
<おすすめポイント>
監督は大の日本ファン。仲間の“ヒーロー犬たち”と愛犬スポッツを探す少年アタリは、まるで鬼退治に行く“桃太郎”。物語の骨格はシンプルですが、監督の日本愛と、細部へのこだわりがさく裂!私たちがイメージする「桃太郎」とはまるで違う、変なユーモア満載の、思わずくすっと笑ってしまう映画です。
また今回、黒澤明監督作から大きな影響を受けたといい、小林市長は、「天国と地獄」の三船敏郎をイメージ、劇中には「七人の侍」の音楽も使われています。
ストップモーション・アニメを作るには、1秒間に24のポーズを人形にさせる必要がありますが、この映画は少しかくかくした動きにするため、同じポーズを2枚撮影しています。現代のCG技術をもってすれば、まるで本物のような映像を作れますが、それでは、わざわざ人形で撮影している楽しさが台無し。犬の毛は、アルパカと羊の毛を使ったそうです。どうりで、ふわふわした感じや、汚れてごわごわになっている毛の感じがよく出ています。じっとしている犬の毛だけが、微妙に動いていて監督の細部へのこだわりぶりがうかがえます。
人間の手の温もりが感じられる作品こそ、子どもたちに楽しんでほしい…そんな監督の気持ちが伝わる作品です。理屈はさておき、監督のお気に入りのおもちゃ箱に入り込んだかのような楽しさは、子どもたちもきっと気に入ってくれることでしょう。
<おすすめプラス作品>