
弁護士のお仕事―『エリン・ブロコビッチ』『依頼人』
(上原千都世)
いきなりプライベートな話で恐縮ですが、昨年、娘たちが交通事故に遭うという経験をしました。(娘たちは無事でしたのでご心配なく) そのとき相手方との交渉に当たってくれたのが女性の弁護士さん。大切な子供の事故で、ただでさえショックなのに、法律も交渉事も素人の私たちにとっては何もかもが初めてのことで不安だらけ。「法律と交渉のプロ」の存在が、どれほど心強かったことか! そんな訳で、今回は弁護士を取り上げます。
弁護士の活躍を描いた映画はたくさんありますが、頼りになる女性弁護士といえばジョン・グリシャム原作の『依頼人』。事件に巻き込まれ命を狙われる11歳の少年マークが、女性弁護士レジーに助けを求めます。払える費用はたった1ドル。離婚で子供を奪われた辛い過去があるレジーは、追い詰められたマークをほうっておけなかったのでしょう。
弱い者を強い者から全力で守る。そんなレジーを信頼し、親子未満友情以上の絆を深めていくふたりに、胸が熱くなります。法律のプロがいなかったら、きっと交渉の途中で心が折れてしまう。自分の実体験を重ねて、心からそう思いました。

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ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
被害者のために果敢に闘った女性といえば、『エリン・ブロコビッチ』も忘れてはいけません。ジュリア・ロバーツがパワフルに演じているエリンは実在の人物。彼女は職なしコネなし学歴なしのシングルマザーで、弁護士ではありませんが「何かおかしい」という直感から、自分の足だけを頼りに根気よく調査を進め、弁護士のボスの優秀な右腕となっていきます。エリンのように「相手の話をていねいに聞く」ことが、弁護士の一番大事なことなのではないかと、考えさせられます。辛い目にあった人の立場になって、ひたすら話に耳を傾けることで、相手の信頼を得て、訴訟に必要な証言や情報が手に入り、結果的に大企業から、莫大な和解金を手にすることに成功するのです。「私は無学だけど善悪の区別はつくわ」とタンカを切るエリンが導き出した爽快な結末に、スカッとします。
子供の世界でも、いえ子供の世界だからこそ理不尽なことはたくさんあって、娘たちから悲しい、悔しい思いも聞き、親子ではがゆい思いをすることも多いです。こんなひどいことは許せない!という正義感、自分だったらどうする? どんな風に話を聞いてもらいたい? 映画を観てそんなことを話しながら、困っている人を助ける仕事の素晴らしさを親子で考えてみる。将来、弁護士という職業についてもつかなくても、きっと子供の心に残る時間になるのでは、と思います。
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発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント