
実りの秋に“わが家の食卓”を考えるドキュメンタリー3本
今月10月は「世界食料デ―」月間です。そこで、食にまつわるドキュメンタリーを数多く配給されているアップリンクの松下加奈さんに、毎日の食卓を見直す、食べ物について子どもたちと話してみるきっかけになる映画をご紹介頂きます。食卓に並ぶ食品を選ぶお母さん(お父さん)たちは実は大きなパワーを持っています。食材ひとつひとつを選ぶその行為には、世界を変える力があると、松下さんはおっしゃいます。

『未来の食卓』
出演: バルジャック村のみなさん 監督: ジャン=ポール・ジョー
販売元: アップリンク(2008年/フランス)時間: 112 分
公式HP
1歳や2歳の子どもの味覚の可能性は無限大です。この時期に化学調味料が多く使われた食品や味の濃いものをたくさん摂取してしまうと素材の良いもの、おいしいものがわからなくなってしまう危険をはらんでいます。この作品は地元の農家の人たちが作った野菜を学校給食で食べた子どもたちが、素材の本当のおいしさを知り、それぞれの家庭の食卓までもを変えていく南フランスの小さな村を舞台にしたドキュメンタリーです。まさに子どもたち自身が未来を変えていく物語です。

『モンサントの不自然な食べもの』
出演: マリー=モニク・ロバン、ヴァンダナ・シヴァ 他
監督: マリー=モニク・ロバン
販売元: アップリンク 2013/11/15 DVD発売
時間: 108 分(2008年/フランス、カナダ、ドイツ)
公式HP
震災が起きたとき、自分の身近に存在する“こわさ”を知らなかったと感じた人が多かったように思います。無関心だった自分を反省し、知っておきたかったと後悔の念を抱いた多くの人が意識をもたなければと考え始めたのではないでしょうか。この映画は2012年の9月1日からおよそ1年間にわたってアップリンクの映画館で上映され続け、また全国400か所以上で自主上映されています。遺伝子組み換え食品のこわさについて、多くの人が強い関心をもたれているということではないでしょうか。この映画の内容を “知っていて欲しいと”と考え「未来に生きるために知っておきたい多国籍企業のこと」というコピーをポスターにつけました。

© SCHNITTSTELLE Film Köln ,THURN FILM
『もったいない』
監督:バレンティン・トゥルン 2011年/ドイツ/88分
配給・宣伝:T&Kテレフィルム 公式HP
10月19日(土)~アップリンク(東京 渋谷)で上映
飢餓に苦しむ人たちが地球上には大勢いる一方で、消費期限が切れた食品が想像もつかないほど大量に廃棄されているのです。この映画には日本も登場しているので、より身近に感じられるのではないでしょうか。最初の2本ではどのように食物が生産されているかが描かれていますが、この作品はどのように捨てられているかがテーマです。この3本を通してみることで、私たちをとりまく食物に関する状況がよく理解できるのではないでしょうか。
2009年、自身が患った大腸がんをきっかけに、オーガニックに切りかえたジャン=ポールジョー監督が来日した際、東京でオーガニック食品を手に入れるのは今ほど簡単ではありませんでした。でもこの映画がきっかけのひとつになり、今はずいぶん手に入りやすくなりました。映画の力はすごいと思います。今回ご紹介した映画は、見ると衝撃をうけたり、おそろしくなってしまうのですが、同時にひとりひとりが意識をかえることで大きな力を生み出すことができると教えてくれます。『フードインク』という映画の中で“人は1日に3回世界を変えるチャンスがある”という言葉が出てくるのですが、食事は毎日のことなので、自分自身も食品表示の見方など勉強しながら実践しています。おいしい食べ物は人を幸せにすると思っているのでポジティブな面を描いた作品もやってみたいですね。