二代目効果マン!

効果音を作る仕事

小島彩
音響効果マンだった父の後を継いで高校卒業後、音響効果を担当するカモメファンに入社、現在に至る。
代表作:「天地明察 」(2012) 「釣りキチ三平」 (2009) 「ブタがいた教室」 (2008)
「さくらん 」(2007) 「陽気なギャングが地球を回す 」(2006)

二代目効果マン
音響効果は、風音や鳥の鳴き声、足音、車の走る音やクラクションなど「音」ならば何でも作ってしまうという仕事。小島さんのお父様、小島良雄さんは、日本一の音響効果マンと言われた方でしたが、小島さんが中学生の時に亡くなります。葬儀にいらした多くの監督やスタッフの方に驚いた小島さんは、「こんな素晴らしい人の血を引いているのならば、この仕事をやらなければもったいない」と思ったのが、この仕事に就いたきっかけだそうです。

音素材が録音されたテープの数々

音を覚えることから
効果マンの仕事は、テープに録音された音にどんなものがあって、それがどこに入っているかを覚えることから始まります。仕事場にあるテープの他に、倉庫にも保管されているので万の単位でテープがあるのではないかとのことです。
いったいそんなに多くの音をどうやって覚えるのでしょう?「いい音はみんなが繰り返し使うので、だんだんどれが良く使われるものなかの分ってきます。また先輩たちはテープの箱に目印をつけて、探しやすくしていますので、その印を視覚でも記憶するようにしています」と小島さん。記憶している音の数を尋ねてみると「さあ、どうでしょう・・・1000くらいあるかな(笑)」とのお答えでした。

今は音素材をコンピューターに取り込んで加工する。

台本は事前に読まない
小島さんの場合、先入観を事前に持たないよう編集ラッシュができあがるまで台本に目を通さないそうです。ラッシュを見て、効果音をつけた方がいいと思うところは、台本にメモを書き込みその後監督、録音技師と打ち合わせをします。セミオールと呼ばれる編集段階から、オールラッシュと3~4回のラッシュと打ち合わせを重ね、効果をつける場所を決定します。その後、録音技師と一緒に録音スタジオで映像に効果音をつけていきます。

生音づくり
撮影した時に無い音を後で作るのも音響効果の仕事です。撮影所には生音を録音するための部屋が用意されていて、ありとあらゆる物がおいてある不思議な倉庫のような場所です。
「例えば、靴音などは画に合わせて一つ一つ作ります。その役者さんの靴の種類、例えばヒールなのか、革靴、それとも下駄なのか。床の材質、土とコンクリートでも音は違ってきます。」そのために、様々な種類の靴はもちろん、土も数種類が用意してあります。

このマイクで作った音を録音
いろんな種類の靴、履物がストックされている
音の質感を出すため様々な土が保存されている

新しい出会いが楽しみのひとつ
小島さんにどんな時、仕事の楽しさを感じますかと伺ってみました。「あざとくなく、印象に残る音がつけられた時、何ともうれしい気持ちになります。また映画はチームでする仕事なので、慣れた仲間と働く喜びもありますが、新しい出会いと、そのワクワク、ドキドキが楽しみの一つです。」

効果の仕事をする上で重要な事を伺うと「感性を磨くこと」とおっしゃっていました。映画を見ることも大切ですが、内容に引き込まれ、個別の音に集中することが難しいので、むしろ実生活の中で聞こえてくる様々な音に注意を払う事の方が大切だといいます。

お父さんと指定席で見た「E.T.」
小島さんに、子ども時代の想い出の映画を伺いました。「子どもの頃はTVが中心で、映画はあまり見ていませんでした。最初に映画館で見たのは確か『ガンダム』で、大きな画面に圧倒されました。その後父と『E.T.』を見に行き、それが映画館で見た初めての洋画でした。E.T. はなんだか気持ち悪いような感じで(笑)、内容よりも映画館が混雑していたこととか、父が気前よく指定席で見せてくれたことなどが、強く記憶に残っています。今思うと、真ん中で見るのが一番音がいいので、指定席にした父のこだわりが分かります」。

小島さんには3人お子さんがいらっしゃいます。子どもができてからは映画への思いが変ってきて、子どもたちにプラスになるものが作りたいと考えるようになったそうです。
二番目のお嬢さんは映画が好きで、監督ごっこをして遊んでいるそうですので、三代目の誕生もそう遠い夢ではなさそうですね。(聞き手:工藤雅子)

協力:調布日活撮影所

過去の記事
≫北條誠人さん ユーロスペース支配人
≫山村浩二さん アニメーション監督 前篇
≫山村浩二さん アニメーション監督 後編
≫佐々木史朗さん プロデューサー
≫川島章正さん 編集者
≫赤澤環さん スクリプター
≫小野寺修さん 録音技師

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